お爺さまに呼ばれてやってきた神殿の奥地、 大神官の私室の中であたしを待っていたのは、 あたしと同じくらいの年頃の 神官服を身に纏った赤茶色の髪の男の子。 そいつのあたしに対する第一声に含まれた 『オルテガの娘』という言葉を、 あたしはいつものように作り笑いで返すことは出来なかった。 『またか。』 あたしはその時そう思った。 大人たちの、父の雄姿を知っている人たちだけでなく、 あたしと同世代の人間にまで そう呼ばれなければならないのかと思うと、 いつものように笑いの下に表情を隠すことは出来なかった。 それであたしはムッとしてそっけなく返した。 でも、 この出会いが、 あたしの人生を大きく変える きっかけとなる出来事になるのであった。 1st top next 番外編初の連載物で、ユウが旅立つより約三年前。ユイが主役の話です。 全4話か5話くらいになる予定で、これはその序章に当たる部分なので短いです。 バハラタ編と合わせて読んでくれると嬉しいです。 |