旅先での再会






「いやー!奇遇ですねぇ。まさかこんな所で再会することになるなんて!」
 とある町のとある宿の食堂で食事を摂りながら、アモスは同じテーブルを囲むテリーとドランゴを見渡した。 近頃町の傍で暴れているという魔物の噂を聞きつけて訪れた旅先で、偶然彼等と再会したのだ。
「いや、テリーさんは兎も角ドランゴさんと魔物退治の現場で再会するとは思いませんでしたよ!」
「ぐるる。マモノとニンゲンなかよくなる。わたし、うれしい。」
 豪快に酒を飲みながら上機嫌に話すアモスにドランゴは上機嫌に返した。
 大魔王を倒した仲間たちとの冒険の後、ひとり世界を放浪するドランゴは基本的に人里にはあまり近付くことをしない。バトルレックスという自身の種族が人間にとって脅威であり恐れられる存在であるという事を理解している為だ。 だが、人間である仲間たちとの冒険を経て、ドランゴは彼女なりに人と魔物との共存の方法について考えている。その為の行動の一環として、彼女は人里を襲う凶暴な魔物の討伐に現れたのだ。
 そして、アモスとテリーと再会を果たしたドランゴは彼等と共になら恐れられる事も無いと上機嫌に再会を祝しての食事会に参加したという訳だ。
「それにしてもドランゴさんは相変わらずお強いですねー!」
「ぐる、アモスも、またつよくなった。」
 ほろ酔い気分で上機嫌に再会のきっかけとなった戦闘を振り返りながら、アモスはこの場において黙々と食事を続けるテリーの方を見遣った。
「ところで、テリーさんは戦い方を変えられたんですか?先程の戦闘、随分と慎重に立ち回られていたようですが…?」
 アモスが何ともなしに紡いだその科白に、テリーはあからさまに肩を震わせた。さらに――
「ぐるる…テリー、よわく、なったか?」
 追い打ちを掛けるドランゴの科白に、テリーは一瞬殺気にも似た気を発するとフォークを目の前の肉に突き立てた。

 ダンッ――

「テ、テリーさん…!?」
 しんと静まり返る場の中で、アモスが戸惑いながらテリーの名を呼んだ。
 テリーはハッと我に返ると深々と肉に突き刺さったフォークを引き抜いた。
「……悪い。」
 ばつが悪そうに謝罪の言葉を発した後、再び沈黙するテリー。
 それにより再び場を沈黙が支配する。
「………実は――」
 テリーが重い口を開いたのは、それから暫くしての事であった。


「成程。それではテリーさんの今の職業は『はぐれメタル』という事ですね!」
「ニンゲン、『はぐれメタル』になるの、たいへん…テリー、すごい。」
 渋々ながら語り終えたテリーにアモスとドランゴがそれぞれに反応を返す。しかしテリーは項垂れたまま返答を返そうとはしない。
「それで、代わりに体力が少なくなってしまったと。あはは…それは慎重に戦わざるを得ませんね…」
「笑い事じゃない!ここまで来るのもどれだけ大変だった事か…」
 いつもの覇気のないテリーの物言いからも、その旅路が如何に困難であったのか察するのは容易い。
「姉さんとチャモロは勿体無いからなんて言って元の職業に戻してくれんし、かといってこの職を極めるのがどれだけ困難かここまでの旅路で嫌という程思い知らされた!!」
 気が付けば見知らぬ旅人に助けられている事幾数回。やっとの思いで辿り着いたこの地で再会したかつての仲間たちに、テリーの堪りに堪った鬱憤は等々爆発した。 酒に酔っている訳でもないにも拘らず、多弁に苦労話を語るテリーのアモスは引き攣った笑みを浮かべた。
(これは…重症ですね…)
 プライドの高いテリーが仲間とはいえ他人に苦労話を語るなど余程である。
 アモスは仲間として、年長者として、テリーに出来る事が無いか考えた。
「そうだ!テリーさん、暫く私と一緒に行動しませんか?」
「お前と?」
 名案が浮かんだとばかりに嬉々として声を上げたアモスにテリーは怪訝な表情を返した。
「少なくとも今の体力に慣れるまではテリーさんは一人旅は避けた方が良さそうですし、私も丁度一人旅というのも寂しいと思っていたところだったんです!如何でしょうか?」
 今の実力では一人旅は困難という事実を突き付けられ、テリーは暫く押し黙った。だがアモスの言う事は正しいとテリーは身をもって誰よりもそれを知っている。 それにテリーが受け入れ易いようにとアモスが理由付けしてくれた事もあり、テリーは不機嫌そうな様子ながらも頷いた。
「……頼む。」
「はい。よろしくお願いします。」
 そんなテリーの反応を予測していたのだろう。アモスは即座に返した。そしてドランゴに向き直る。
「もしよろしければドランゴさんも如何ですか?」
「ぐるる、テリーいく、なら、わたしも、いく。」
 ドランゴは即座に頷いた。


 かくして、三人はテリーのはぐれメタルとしての熟練度稼ぎの為、しばしパーティを結成する事となった。









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〜あとがき〜
 サイト更新したいなと思いつつネタが上手く書けなかったり他ジャンルに嵌ったりで長らく放置しておりました。
 この夏、ミュージアムやスぺクタルツアーでドラクエ熱がだだ上がり状態で、今書かなくて何時書くんだと勢いに任せて久しぶりに書いてみました。
 以前書こうとした時はネタだけ考えて頓挫していた話です。テリーのはぐメタ攻略記「はぐれはじめ」
 これで漸く次の話の方も上げられる・・・長い事放置していたにも関わらず今もお越しくださっている皆様、本当にありがとうございます。 次の更新がいつになるか分かりませんが、心の中ではいろいろな話を書いて行きたいと思ってますorz・・・頭の中で考えた文章がが文章化される装置が欲しい。
 しかしスペクタクルツアーで上がったテンションで何書いてるんだ私・・・テリーすまん。ツアーのテリーはとても恰好良かったです!











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